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− 連続小説掲示板 −

ここでは「理沙の物語」の詳細ストーリーを書いています。
なお、この掲示板は閲覧専用です。

最近更新が滞っていてすみません。。。。。(^_^;


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理沙の毎日(その1) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 01:19 No.22  

「いいマンションがあるんだけど。」
この店で働き始めて半年、ママは理沙にそんなことを言ってきた。
「これから頑張ればなんとかなるから・・・・・」
彼女の知り合いの不動産関係の人から紹介された物件だった。場所はお台場の高層マンション。

しかし、間取りは夫婦で生活するようなもので、一人で生活するには広すぎる。
「いいじゃない。誰かといっしょになったら・・・・。」
あのね・・・・。そう簡単にそう言われても、と理沙は思った。
毎月の家賃はかなり高いものの、それでも都心に借りるよりはまだ安い。
引越しまでの日々はあわただしく過ぎてゆき、狭いアパートを出てゆく日がやってきた。

強行軍で1日で終わらせた引越しも無事に終わり、業者の人間も帰った後、理沙は一人でダイニングのテーブルに座った。
ぽつんと空いている向かいの席を見つめながら、ふとママの言ったことをまた思い出してしまった。



Flash Back(その7) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 01:15 No.21  

そして、再び夜の空を見上げる・・・・。

ママはいつもマスターのことを信じている。
家族は離散して、自分のことしか信じられないせっぱつまった状態の中、マスターだけが彼女にとって気持ちを許せる場所だった。
いつかは2人だけで独立して店を持ちたい・・・・そんなことを理沙は最近まで何度聞いたことか。

だからなおさら理沙はママのことが心配だった。
昔からの親友として、彼女には問題に巻き込まれて欲しくないと思っている。
れいなとマスターは、すでにただならない関係であることは理沙にはわかっていた。あとは時間の問題だった。

はやく現実を直視できるようになってほしい・・・・・そう思いながら、今日も理沙は店に向かう。



Flash Back(その6) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 01:14 No.20  

ママは、その男・・・・今の店のマスターから引き抜かれてここにきた。
そのあとは、のし上がるために必死になって彼女は働いたが、
それも単にお金のためともいえなかったようである。

あの人はね・・・・と、時々そんなことを言う彼女の表情は、ちょっと浮いている。理沙にはわかっていた。
「早いうちに、頼りになる男の人、見つけておいたほうがいいよ。」
ママは理沙に時々そう言うが、その気持ちはわからなくもない。

マスターと一緒に先に帰ってしまったママの後姿を見つめながら、
理沙はカウンターにいるバーテンに言った「あの2人、結婚するのかなぁ・・・?」
バーテンは、あたりさわりのない口調で言った。
「ママにはすごくお似合いの人ですね・・・・・。」



Flash Back(その5) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 01:14 No.19  

理沙の前から突然に姿を消した彼女。
そのあとは、世間の波にもまれた3年半だったようである。

手っ取り早くお金を稼げる手段は、世間では限られていた。
なおさら持てる者と持たないものの身分がはっきりと別れたこの世の中では、タフでないと生きてゆけない。

ママが最初に働いたクラブは、競争率の非常に高い店だった。
稼ぎの多い女はヘルプの女の子をたくさん従えて、店の中でも非常な発言力を持っていた。
そんな彼女たちの下につくことを嫌い、独自にのし上がろうとしたかつてのママだったが、彼女達の力の前にはなすすべもなかった。
完膚なきまでにたたきのめされ、辛酸の日々を送っていた彼女。

そんな彼女の前に一人の男が現れた。



Flash Back(その4) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 01:11 No.18  

夜の街を歩きつづける・・・・・。

「食べに行こうか。」仕事が終わったあとママに誘われて、理沙はあとをついてゆく。
理沙がママの店で働き始めて3ヶ月になった。
まだまだ決まった客はついていないが、客といろいろ話をするのは楽しく、店の雰囲気にだんだんと溶け込んでいった。

ママは理沙の学生のころの同級生だった。
家が近所ということもあって、その当時はよく遊びにいったこともあったものだが、
彼女が15歳のとき、突然彼女は家族といっしょに理沙の前から姿を消した。なんの挨拶の言葉もなく・・・・・。

3年以上の月日が流れて、2人は再会した。
自分よりはるかに大人っぽくなった彼女の姿がそこにはあった。



Flash Back(その3) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 01:08 No.17  

理沙は振り向いた。そしてその女と向き合った。
女はサングラスをかけていた。その表情がちょっとだけ変化した「え・・・・?もしかして・・・。」

「ごめんなさい・・・・。」力ない声で理沙はちょっとだけ頭を下げた。
「ねえ、あなた・・・・・・理沙?」女は理沙の顔を下から覗くように見つめた。
「どうかしました・・・・・?」
女はサングラスを取った。
しかし、理沙のほうはまだまだぴんと来ないようである。ぼんやりした表情で見つめているだけ。
「あたしよ、理沙・・・・・・どうしたのよ、そんな元気ない顔して。」

ぼんやりとしていた理沙の表情が・・・・・しだいに変化して・・・。



Flash Back(その2) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 01:05 No.16  

このままどうなってしまうのかな・・・・・・と、気持ちだけが空回りしている。
暑さで気分も朦朧としている状態で、理沙は向こうから接近してくるスーツ姿の女性にも気づいていなかった。
視野には入っていたのだが、不思議とその女性の方向に理沙は向かっていた。

そして2人はすれ違う・・・・瞬間、肩が触れ合って、スーツ姿の女性が脇に持っていたバッグが落ちた。
理沙はふらふらとよろける。そして体勢を立て直してまたよろよろと歩きつづける。
スーツの女が振り向いた。
「ねえ、あんた・・・・!ちょっとそこの!」

しかし、理沙の耳には届いていないようだった。そのままよろよろと歩く彼女。
スーツの女は理沙に近づいていった。うつむき加減の理沙の肩にぐっと手をかけた。

「ねえ、どうしてあやまろうとしないわけ・・・?」



Flash Back(その1) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/11(Sun) 01:05 No.15  

ふと夜の空を見上げる・・・・・。

熱い夏の日。
理沙は駅に向かう長いだらだら坂を上っていた。
向こうからくる人ごみをよけながら、なんとなく、無意識といった状態で歩く。
周りの喧騒も、理沙の頭の中までは届いていなかった。
今はいろいろな悩みでいっぱい、しかし、なぜかそれらが他人ごとのように感じられる不思議さ。

一人の女が理沙と反対方向に歩いている。
颯爽とした足どりで、涼しげなスーツ姿。
だらだらと歩く理沙は、そんなことは全く知らずにうつむき加減に坂を上る。

2人の距離は急速に近づいていた。



お台場の風(その6) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/10(Sat) 23:21 No.14  

ママは、マスターにスカウトされてこの店に来た。
前にいた店ではひどい待遇で彼女は苦労していたが、そんな状況を見かねたマスターは彼女に店の外で声をかけた。
「あのときにあの人に会っていなかったら、どうなっていたかしらね。」
理沙の前でもそんな話をすることがよくあった。
「いつかは店を持ちたいって、真剣に考えたね・・・・・あの人となら。」
そう言っているママを、理沙はいつもうらやましく思っていた。

「本当に大丈夫と思う・・・・?」
店が終わったあと、理沙はママと2人だけで再び話をした。
「わからないね・・・・。」
自分から気持ちがだんだんと離れているのを、ママは感じ取っているのか?
でも、焦っていてもますます自分を追い込んでゆくだけ。
それでも何かしておかないと、自分の立場が追い込まれるかもしれない。

グラスのビールを一気に飲み干したママを見て、理沙はそんなことを思ったりした。



お台場の風(その5) 投稿者:理沙の旦那 投稿日:2004/04/10(Sat) 23:20 No.13  

理沙はこの店で働き始めて1年と少しになる。
まだ、月間売上トップになったことはないが、着実に固定客を増やしていた。
対して、年上のれいなはやはりこの世界で3年のベテランなので、ほぼ毎月何がしかの賞をマスターからもらっていた。
しかし、年下であるにもかかわらず、ママは現役のころはれいなといつもトップを争っていたのだった。

やがて、店のママになった彼女。
ママとれいなの間の対立は、ますます深いものになったのは言うまでもない。
事あるごとに2人は意見を対立させていた。そして時には店を出てゆくことも匂わせていた。

だから、ママはいつも気にしていた。
マスターとれいな・・・・・・きっとなにかあるはず。

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