あらすじ_02_08


女性歌手は、たった一人でステージに立ち、静かに曲が始まった。楽曲「ボレロ」のような静かな始まり方で彼女は歌い始める。
聴衆は数名の審査員だけで、待合室からモニター越しに歌っている姿を見ることができる。
彼女は順番では最後なので、既に審査の終わったグループは既に気が抜けているか、自分たちの演奏を自画自賛しているか。
理沙は彼女の歌っているところを待合室で一人で見ていたのだが、最初のうちはあまり自信のないか細い声で歌うので、
最初の見た目に反して、本当にこのままで大丈夫なのだろうかと思ったが、やがて曲が盛り上がってゆくにつれて彼女の雰囲気はがらりと変わった。
強烈な声量と良く通る澄んだ声、伸ばした腕は何かを訴えかけるものが感じられる。
その声に惹かれて、モニターの周りにはいつの間にか他のグループが徐々に集まってきた。そして曲は終わる。
歌い切って疲れ果てた彼女はうなだれて、やがて顔を上げて爽やかな笑顔を見せると、待合室では拍手と歓声があがった。



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