あらすじ_06_02


エリシウム居住基地の作業用エアロック前、男が女の頭に拳銃を突き付けてアンドロイド警備員に盛んにどなりつけている。
事の始まりは些細な事だった。女性観測員がフィアンセと基地に到着し、入館手続き時にフィアンセに犯罪可能者のアラート反応が出てしまった。
本人には犯罪歴はなく、女性観測員もそのことを訴えたが、システムの判断に受付係もどうすることもできず、彼は身柄を拘束された。
その日から彼には執拗な尋問が行われ、寝る時間も十分に与えられず、心身疲れ果ててついには自暴自棄になってしまった。
係員も指揮官と連携し原因究明につとめたが、システムの判断に全く歯が立たない。フィアンセは隙をみて実力行使に出ることにした。
女性観測員を人質にして、作業用エアロックのスイッチに手を伸ばすフィアンセ。警備員に囲まれて一触即発の状況。
ほんの一瞬、警備員は彼の気持ちの乱れを見逃さなかった。女性観測員を彼から強引に引きはがし、一斉に銃口が彼に向けられて火を放つ。
銃弾が四方から打ち込まれた彼の体は宙を舞う。警備員の冷たい腕に掴まれた女性観測員。叫び声すら出なかった。



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