あらすじ_06_03


エリシウム居住基地での悲劇については、すぐに理沙たち中核メンバー伝えられた。
システムの判断による冤罪被害は地球内外で既にいくつも事例があり、政治、法律、技術者にとっての懸念事項の一つであった。
そんな中、一人の技術者が匿名で発表した解決案のレポートが話題になっていた。しかし、倫理的な面で問題があり賛否両論だった。
1年以上の各企業との調整、仕様の決定に時間がかかったが、核融合推進システムの製造がようやく始まり、
その後の進捗は理沙たちがついていけないほど速かった。システムの各コンポーネントは次々に完成し、輸送船が月へと向かう。
プラズマ制御のために必要なデータモデルの組み立ても大詰めの段階で、フランスの研究所では炉心制御のシミュレーションが淡々と進む。
理沙はデータモデル担当の技術者と会い、次世代の宇宙船のための制御システムに必要な仕様について話し合った。
エリシウム居住基地での悲劇の件が念頭にあってのことだったが、将来大きな問題にならないうちに解決策を見つけておこうと理沙は考えていた。



あらすじ(6)表紙へ