あらすじ_06_11


大気突入時のGは徐々に軽くなってきて、理沙は地球の重力の世界に引き戻された。窓の外に見える炎もおさまった。
下には雲海が見える。ハリケーンにより勢力が強まった雨雲で、座席に備え付けられたモニターを見ると空港の近くだけ雲が切れた状態。
高度は非常に高いのではるか遠く先まで良く見渡せる。機体は空港に向けて一直線に降下を続ける。
小さなシャトルなので、パイロットが管制官と会話する声や、システムのアナウンス音声がすぐ近くで良く聞こえる。
空港の天気は晴れているのだが、横風が30分ほど前から強くなってきて、いくつかの飛行機は着陸をやり直したり、別な空港に移動したり
上空で待たされている飛行機もかなりいるようである。パイロットと管制官の交信が忙しくなる。
機体が雲の中に入ると、気流が乱れて小さな機体は何度も大きく揺れた。しかし揺れはそれほど長くは続かず、
視界が急にひらけて遥か前方に滑走路が見える。あと少し、無事に着いたらまずはリーダーの家に行こうと理沙は思った。



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