あらすじ_06_12


降下速度が速いというのは理沙の目で見てもわかった。地上への接近を示すアラート音が高くなる。機首を上げて着陸態勢に入るが
滑走路をオーバーランする可能性もあり、着陸やり直しについて管制官との交信が続く。
残存燃料を使用しエンジンを噴射して再上昇することは可能だった。しかし、パイロットはそのまま着陸することを選んだ。
地上までの高度は100メートルを切る。速度はまだ限界速度を上回っている。理沙は非常事態に備えシートの間に体を丸めて頭を抱える。
着陸の瞬間、機体が大きくバウンドする。再びアラート音。機体は浮いたままで突然の横風に翻弄される。
上下の感覚が狂う、機体が地上にたたきつけられる。きりもみ状態のような機体の回転。胴体がこすれるような高い金属音。
天井に亀裂が入り、裂けてそのままばらばらになる。後方からは爆発音。炎があがりすぐそばにまで迫ってくる。
そして全身を引きちぎられるような激痛に襲われ、そのまま理沙は気を失ってしまった。



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