あらすじ_09_01


カウンターひとつとテーブル席が3つほどの小さなクラブ。客は一人だけ。理沙は客と語り合う。
東京湾の人工島が見える高速脇の繁華街、24時間眠ることのない繁華街は様々な人が立ち寄ってゆく。光と影のある街だった。
理沙は人工島の見えるこの風景が好きだった。最初にこの風景を見た日から長い波乱万丈の日々が始まり、再びこの場所に戻ってきた。
理沙は半年前この場所に小さなクラブを開店して、繁華街を通り抜ける人たちを眺め、立ち寄る客とはとりとめのない会話をした。
店は週に3日だけ開いている。ジャズのスタンダードを流して、客が全く入らない日もあったが、理沙は特に気にしていなかった。
いつかは自分の店を持ってみたいという夢を実現できただけで満足だった。趣味のようなものだ。
客は壁に大きく飾られている、土星の輪の写真のことを理沙に尋ねる。一元の客だったが今日も話が長くなりそうだった。
しかし、すべては過去に属すること。理沙は残りの人生の時間をただのんびりと毎日過ごすことに決めていた。



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