あらすじ_12_09


木星への出張を翌週にひかえ、理沙は荷物の準備をしていた。半年間の出張はすでに生活の一部になってしまい、
孫娘の生活にとっても同様だった。半年後の結婚に向けて今は彼氏とアパートで同棲状態で、出張中は彼女に自宅を自由に使ってもらうことにした。
エネルギー省の担当者と議論した、プロジェクト完遂後のことについては、政府レベルで議論することとして理沙の上申も含め提出された。
と同時に、今回の改良型ラムジェット機のストレステストが万が一失敗した場合の事を、理沙は考えていた。
責任を取ってどうするということではないが、プロジェクトの立て直しを行い、再度メドがついたところで理沙は責任者を辞することを決めていた。
そのあとどうするかについてまでは考えていないが、「エンデヴァー」元船長からの誘いで企業のポストに就くことは可能であった。
軍に戻るという選択肢もあったが、年齢的にもそろそろ退役の時期だろうと考え、上官に辞表を提出するつもりでいた。
出発の日の朝は、初夏の爽やかな空気だった。帰宅した時には秋も深まって、孫娘の結婚式直前のはずだった。



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