あらすじ_13_10


基地の中央部のコミュニティ広場。芝生は人口芝生で上からは人工太陽照明ではあるが、タイタンの表面にいるとは思えないほどの自然感。
タスクチームの6人は芝生の上で横になりながら各々考えを整理中。理沙はシステムの記録情報よりもメンタル女のノートの内容に注目していた。
最後のページに書いてあった文言は、いったい何を予兆していたのだろうか。「すべてが順調に見える時ほど不安ばかりが募る」との最後の言葉。
彼女のその言葉の通り、基地の中はいたって平穏。少し離れたところに座っているカップルは休暇には何をしようかとのどかな内容の会話をしている。
作られた平穏。という言葉が理沙の頭の中に浮かんできた。すべてがあるべき姿でありながらも、どこかに矛盾を抱えているようにも見える。
理沙は立ち上がるとリーダーに基地内を散歩してくると言い残し、広場から商店街へ、さらには管理区画へと向かった。
管理区画の一角には、基地の管理をすべて統合的に担っているシステムの区画があり、理沙達調査チームは立ち入り禁止だった。
セキュリティゲートの先にいるシステムのことを考え、初期構築にかかわったメンタル女のことを想像した。彼女はどんな証跡を残したのだろう。



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