あらすじ_16_12


理沙の予想通り、次に出頭した時に原告側は、記憶は決定的な証拠にはならないと強く反論し、理沙たちからの申請は却下するようにと
裁判長に強く訴えた。しかし今までは原告の意見を重要視していた裁判長だったが、いつのまにか理沙たちの申請を支持するように変化していた。
軍の研究施設の準備が完了次第、理沙の記憶分析が行われて、得られた記憶データが分析され得られた情報をもとに原告から提出された証拠との照合、
その後評価が行われ、結論については軍上層部もかかわって行われる段取りとなっている。事の重大性を上層部も認識していることの表れだった。
それだけに、今回の分析によりで理沙に有利な判決が下されなければ、即日で処分は決定し、さらに虚偽罪まで加わり理沙の軍歴はあっさりと終わる。
裁判は理沙の記憶データ分析への段取りがついたということで、証拠の検証と弁論は終わり、判決までは裁判所への出頭はもうない。
理沙は長い間の裁判での弁護人の労をねぎらうために、裁判所からの帰りに弁護人と夕食をともにした。
気がつけば裁判が始まって1年になろうとしていた。俗世間から隔離された孤独な闘いはあと少しで終わることになるのだろうか。



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