あらすじ_18_15


管理職メンバーにはまだ残されている調整事項があった。宇宙船運用にあたっての各種規定事項は既に詳細まで決定済みだが、
有事における決定権については出発前に決着がつかず、持ち越し事項になっていた。軍選出の指揮官は2対1で軍が有利だと思っているものの、
今回は純粋に軍のプロジェクトではないので、軍の論理を振りかざすことも難しい。艦長が事業団選出の理沙であることも彼には頭が痛かった。
リモートにいる女性士官は、2対1で有利なのは軍なのだから全く心配ないと言っているだけ。しかし、指揮官はもっと違った点で心配事があった。
新型宇宙船の管理職メンバーの会合で、女性士官と初めて会った日、彼女のプロフィールを見て気になる点を問いかけたところ
彼女はあっさりと認めた。理沙が事業団側のメンバーとして参画し、近いうちに対面した時にやっかいな事になるのではと彼は心配したが、
女性士官から、会うその日まで理沙には絶対に話さないで欲しいと口止めされた。
2名の指揮官、10名の運用リーダー含めた会議が今日も始まった。理沙は今日も悠々としていた。気が重いのは指揮官ただ一人だけのようである。



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