あらすじ_18_20


巨大宇宙船は木星までの45日間の工程のうち、加速10日、減速10日すべてクラスター推進システムで行う非常に贅沢な航行を行っていた。
木星からまだ離れたところから推進システムを作動させ、長いプラズマの噴射光は「アトランティス」からも肉眼で見る事ができた。
中央制御室では女性士官含め5人がモニター表示を見守ってるが、非常事態のために待機しているだけで基本的にやるべきことはない。
女性士官は、モニター表示の軌道データを見ながら、船が今どんな状態で、次に何が行われるのかすべて頭の中で把握していた。
木星の管制区に入り、木星の4大衛星軌道内に入ると、「アトランティス」から見た船の映像に変化が見られた。船全体がもやのようなものに包まれ、
ぼんやりと輝いていた。木星の強烈な磁力圏内に捉えられた荷電粒子が、船全体にまとわりついている。船体が被害を受けないように
磁場のシールドが船全体を保護しているのだが、磁場との相互作用で荷電粒子が輝いていた。外から見れば美しい光景だったが、
女性士官はモニター表示をただ見守っているだけ。船を無事に到着させることに気持ちを集中し、待っている人のことを想像していた。



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