あらすじ_19_12


増設作業中の宇宙港2から事故の連絡が入った。3番目の発着ターミナルを本体に連結しようとしたところ、突然に動き出してしまい、
動きはゆっくりしたものだが、数千トンの質量のモジュールは、本体側連結部分を引きちぎり、エアロック内にいた3人の作業員は真空中に飛び去った。
状況確認に時間がかかり、行政官が何度も宇宙港2の制御室と連絡をとってようやく状況がわかった。原因は非常に情けないもので、
現地の作業員が間違った位置情報を連結予定のモジュールに指令し、システムが間違いを指摘したにもかかわらず、訂正して作業を強行したことだった。
つまらない思い込みで人命が失われ、行政官と現場リーダーは終日振り回された。原因を引き起こした作業員は死亡したため原因追及はできず、
状況調査のみでレポートをまとめ、ターミナル増設作業は中断された。今までにも同様の作業は数々あったはずなのだが、なぜ今回なのかという疑問。
さらに深い真の原因分析の過程で、作業員のマンネリ化とモチベーション低下という、今さら信じられないような情報が炙り出されてきた。
理沙と直子は行政官がまとめたレポートを見ながらしばし無言だったが、直子の鋭い目つきは何を訴えようとしているか理沙にはすぐにわかった。



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