あらすじ_21_02

異常なまでに拡大した感染症の状況、地球経済の縮小、世界各国の物流網の停滞。木星の資源インフラだけが世の中を支える唯一の頼みの綱と
会議室での理沙と実施主任への気遣いは異常なほどだったが、一通りの雑談が終わると、事業団上層メンバーへのプレゼンテーションを始めた。
事業団長官だけには事前に内容を見てもらってるが、長官をとりまく技術系、管理系の役員の目の前で披露するのは初めてだった。
木星衛星系の立体画像を前に、実施主任は環境的な背景からまず説明し、構想している60基のレーザー発振基地を披露したのち、
レーザー光で推進する恒星探査機を次々に近隣の恒星へ飛ばし、核融合推進の探査機を向かわせるまでのプロセスを説明。
レーザー発振基地の中核技術である、木星の磁場と高エネルギー帯から電力を調達する仕組みの説明には実施主任はかなり力が入っていた。
一番気にしているコストパフォーマンスについては、既存技術の利用によるリスク低減と、新規事業立ち上げによる回収プランを理沙は説明した。
ひととおり説明を終えたところで、役員たちは互いに顔を見合わせた。技術系役員の一人が理沙に対してコメントを述べ始めた。



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