あらすじ_21_14

翌日、理沙と初老の社長は店の外で待ち合わせをした。静かな場所で2人だけで話をしたいと理沙から言われて、社長は少々戸惑っていたが、
約束した時刻に社長はやってきた。東京湾の見える公園をしばらくの間歩き、展望レストランの静かなデッキ席でようやく理沙は話し始めた。
3年の間変わらずに店に通ってくれたことを感謝し、開発局の仕事に戻る直前に店員に託した手紙の真意を話し始めた。
最後に店で会った夜に、道路に倒れそうになって抱きかかえられ、抱きしめる腕の強さに何かただならぬものを感じていたのだが
社長の気持ちを確認することがなかったので、真意が知りたいと理沙は言った。社長は自身の今までの思い出を語り始め、
特に、軍での経験の中で忘れることのできない出来事、戦友でもあり将来共に生きる事を約束した女性のことを話した。
自身の過失による事故で彼女を失い、退役後もトラウマのようになって彼女の事は古傷のように残り、そんなある日出会ったのが理沙だということ。
出会った日から理沙が彼女と重なってしまい、贖罪と愛情が複雑に絡み合っているとのことだった。理沙に面と向かい、共に生きたいと彼は言った。



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