あらすじ_21_15

社長からの告白に理沙は戸惑ったが、彼の真剣な表情はほんの一時だけ。そのあとはいつも通りに店でしているような雑談に戻った。
夕暮れが迫り、遠くに見える人工島に灯りがともるのを眺め、その後は1時間ほど夕食を共にしたのち海岸沿いの道を歩いた。
理沙は、少し考えさせてもらえないかと社長に言った。3年間の約束で事業団で働き、契約更新を理沙から申し出なければ職務は終わり地上で生活できる。
新型宇宙船の指揮官育成を急いだのも、戻らなかった時のための保険だった。長官からの要請による義務は十分に果たしたのだし、
軍と事業団の退職金で残りの人生を楽しんでもいいのではないか。社長と別れて家に向かうまでの間、理沙はタクシーの車窓からの景色を見ながら考えた。
店員2人は店に出勤しているので、家に戻ると理沙は一人でぼんやりと考えながら過ごす。仕事を続けるべきなのか、社長と一緒に暮らすべきか。
今までの人生で、二者択一に悩んだ時の事を思い出し、あの時の判断は自分にとって最善だったのだろうかと、別な道を選んだ場合を考えてみる。
様々な人と出会い、別れ、時には闘いもあり、長い道のりを生き抜いて今の自分がいる。ここで別なシナリオを選んでみようかと心に決めた。



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