あらすじ_21_21

理沙から地球を出発したという知らせを聞き、直子と大佐はとりあえずほっとした。レーザー発振基地提案の取り下げを契機にして
理沙は契約更新をしないのではないかと懸念していたが、理沙は再びルーチンワークに戻り、木星へ向かう船の中から日々の業務状況をチェックした。
現場不在の半年の間、現場では特に大きな問題もなく、生産活動は粛々と続けられ、宇宙船の船内では管理職業務の引継ぎが続けられた。
直子も大佐も、部下に指揮官の仕事の引継ぎが完了して、中央制御室での当直から解放された。今は今後に向けてのプランニングが主な仕事で、
いつまた生産現場に対して政府が締め付けを強化してくるか、政府の動向を探っていた。理沙からの課題事項である、地球からの供給に頼らず
完全自給自足で生き延びる事が出来るのかについては、技術部隊を巻き込んで本腰を入れて検討を行っているところだった。
エウロパ、カリスト、ガニメデから水を確保するプラントは完成間近で、木星大気中から有機化合物を採取するプラントは基本設計が完了。
しかし、いったん提案を取り下げたものの、レーザー発振基地の真意を政府に見抜かれることはないだろうかと理沙は常に気にしていた。



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