あらすじ_22_08

今の地球の状況は非常事態であり、確かに理不尽な要請ではあるものの、協力するのが正しい対応だというのが直子の意見であり、
宇宙船側の管理職の意見には政府寄りが多かった、対して生産現場は政府に反対する管理職が多い。社会インフラを支えている自負からだろうか。
先日理沙が幹部4人だけの時に話した自分の意見については、いちおう同調していたものの、部下を前にしては自分のテリトリーのエゴが出てしまうのか。
会議は、事業団と軍の2大勢力の対立の場となってしまった。長々と議論をするのもどうかと考えたのか行政官は採決をとることにした。
多数決でレーザー発振基地の技術検証機の構築は保留となった。決済口座の制限については受け入れる事とし、不自由な生活を受け入れた。
生活を支えるために衛星からの水資源の確保、木星大気からの有機物採取の案件は継続することになった。完全自給自足の体制構築は
今後役に立つとの判断である。理沙は会議が終わるといつものように作業プラットフォームへの連結通路まで行政官を見送った。
行政官の顔色が微妙に悪いように見えた。足取りもいつもと違い重々しい。理沙は気にしつつも彼の後姿をしばらく眺めていた。



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