あらすじ_25_11

50年近くの間、太陽系開発の第一線で活躍し、多数の船乗りや技術者の育成に貢献した宇宙船「エンデヴァー」にもついに退役の日がやってきた。
木星までの最後の航海を終えて、作業プラットフォームAに係留された状態で退役式が行われた。初代乗組員も生存者は今では元大統領夫人のみ。
その元大統領夫人も、体調不良で木星まで行くことができずリモートからの参加となった。2年前の「エンデヴァー」OB会に直子は招待され、
そのとき初めて元大統領夫人と直接会い、最初の木星・土星探査ミッションのエピソードを聞かされた。伝説となっているタイタンでの救出劇も
今では歴史の一部でしかないが、理沙のとっさのアイディアで命を救われたと、元大統領夫人は何度も直子の手を取り感謝の言葉を述べた。
作業プラットフォームの窓から直子は改めて「エンデヴァー」を眺めた。推進機は増強され、居住ユニットが追加されて建造当初の面影はないが
船乗りや技術者たちの数えきれない思い出が染みついていた。無人の状態で係留ポートを離れて木星への落下が始まる。
歴代の乗組員たちが見守る中、「エンデヴァー」は木星大気に突入しやがて燃え尽きたが、その後も直子はモニター画面を眺めていた。



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