あらすじ_25_12

直子が木星までやってきた目的はもう一つあった。新しい核融合ラムジェット機のテストのためである。10年以上前に初代機のテストに立ち合い、
いくつかの課題事項はあったが、その後改良が進められて今回4代目の機体が完成し、今回直子はテストパイロットに志願した。
作業プラットフォームA内の操縦室でリモートから機体を操り、今回のフライトコースは直子のリクエストで大赤斑を上空から中心を目指すことになった。
小さな操縦室に座ると体全体にラムジェット機からの映像が取り囲み、自分の体そのものが機体と一体化して飛んでいる気分になった。
リモート操縦のタイムラグがあるとはいえ、思ったように機体が動いてくれるのが楽しく、眼下に大赤斑を見ながら順調に降下する。
頭の中を微妙に刺すような痛みを感じ、直子は管制室にその旨を伝えたが、モニターには異常は見られないためフライトは続行された。
やがて管制室の声も直子の耳に入らないくなり、一瞬景色が揺らいだかと思ったら、感覚が劇的に変化し直子は戸惑った。
自分の周りを取り囲む操縦席は消滅していた。機体もそこにはなかった。大赤斑上空で直子は自分の体一つで飛行を続けていた。



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