ヘリウム3採集プラント
2040年代から、核融合エネルギーの実用化が始まりました。
核融合の莫大な熱エネルギーを利用した発電が行われ、宇宙開発においては、原子力推進より効率のよい推進システムとして利用されましたが、
必要となるヘリウム3は地球上では採取が難しく、月の土壌から取り出す手法が実施されました。
ヘリウム3採集プラントは、月の土壌を大量に処理し、土壌に含まれているヘリウム3の分離/精製を行います。
その後、月周回軌道上の作業プラットフォームに輸送され、地球上の発電所、惑星間を飛行する宇宙船に使用されました。
探査船「エンデヴァー」での木星の大気調査により、木星上層大気中にも大量のヘリウム3が含まれている事が確認されると、
木星の大気中からヘリウム3を採集する事業が始まりました。
やがて、木星周回軌道上の精製プラントが本格的に稼働すると、木星でのヘリウム3生産量は、月での生産量を上回るようになりました。
月のヘリウム3採集プラントの全体図を以下に示します。詳細は「ヘリウム3採取プラント」もあわせて参照してください。
ヘリウム3採集プラント全体図 |
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月の土壌からヘリウム3を生産するプロセスは、以下のようになります。
(参考:月資源利用技術について 九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 渡辺隆行)
https://chem-eng.kyushu-u.ac.jp/lab5/Pages/review/lunar.html
1.月の土壌(レゴリス)の採取、レゴリスには太陽からの太陽風ガスが付着している。
2.月の土壌を粉砕し加熱する。200~900度に加熱することで付着しているガスを回収することができる。ガス回収後の土壌は再び月表面に戻す。
3.回収したガス(水素、水、ヘリウム、CO2、メタン、窒素)から、ヘリウム3を分離する。
4.ヘリウム3を高濃度圧縮、または液化して輸送可能な状態にする。他のガス(水素、水、CO2、メタン、窒素)も利用のために同様の加工を行う。
ヘリウム3採集プラントを構成する各設備について、以下の図にて説明します。
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<ヘリウム3採集プラントの構成説明> 1.輸送用宇宙船離着陸用パッド(2基) 2.ヘリウム3積み込み用ターミナル 3.管理用設備 4.管制設備(管制塔、管理用システム設備) 5.分離したガスの高濃度圧縮、液化装置 6.回収ガスからヘリウム3および他のガス分離、精製装置 7.回収ガス貯蔵タンク群 8.月土壌の高温加熱、ガス回収装置 |
9.ガス貯蔵タンク(ヘリウム3/水素/メタン/CO2等)群 10.月土壌受け入れヤード、月土壌粉砕装置 11.変電設備 12.発電用原子炉モジュール(原子炉/タービン発電機/ラジエーターパネル) 13.発電用ソーラーパネル 14.月土壌運搬用重機のメンテナンス/充電設備 15.Heavy-Lifter用管制設備 16.Heavy-Lifter離着陸用パッド |