タスクスケジュール
「建造プラン」の項では、恒星間宇宙船プロトタイプの建造に関するプランについて説明しました。
ここでは、建造に至るまでの準備段階や「Metal-Seed」の製造/テスト含めた建造にあたっての全体シナリオ、
シナリオに基づいたタスク項目、タスクスケジュールについて説明します。
【建造にあたってのシナリオ】
以下の4つの段階を踏んで建造を行います。
●第一段階 : 「Metal-Seed」プロトタイプの製造とテスト
●第二段階 : 資材調達用小惑星の輸送
●第三段階 : 「Metal-Seed」のフィールドテスト
●第四段階 : 恒星間宇宙船プロトタイプの建造
1.第一段階:「Metal-Seed」プロトタイプの製造とテスト
「Metal-Seed」のプロトタイプ製造にあたり、シミュレーター内に作り上げた仮想「Metal-Seed」を使用し増殖テストを行い設計を精緻化します。
十分な精緻化が行われたのちに実物の製造に着手します。
実物の製造が行われると単体での動作確認を行い、増殖テストでは製造された「Metal-Seed」のコピー品質が完全か検証します。
実物の増殖テストは、機密保持と増殖時の不測の事態発生を想定し、
世代1までの増殖テストは地上で実施(ネバダ州の核実験場跡地)し、世代4までの増殖テストは月面で実施します。
第一段階:プロトタイプの製造とテスト |
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●実施概要 ・シミュレーター内での、仮想「Metal-Seed」を使用した増殖テストの実施 ・「Metal-Seed」プロトタイプのセット/ノード製造、単体での動作確認 ・「Metal-Seed」増殖テスト、増殖したセット/ノードの品質確認、動作確認 |
2.第二段階:資材調達用小惑星の輸送
「Metal-Seed」プロトタイプの製造とテストに並行して、宇宙船の原材料となる小惑星を調達し、太陽/地球L3へ輸送します。
候補となる小惑星は、太陽/木星L4のトロヤ小惑星群を調査し選定します。調査には宇宙船「エンデヴァー」を使用します。
候補となる小惑星が選定されると、小惑星にVASMIR(比推力可変型プラズマ推進システム)が取り付けられ輸送が行われます。
太陽/地球L3までの輸送には約5年ほどかかります。
第二段階:資材調達用小惑星の輸送 |
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●実施概要 ・候補となる小惑星を、太陽/木星L4トロヤ小惑星群から調査し選定 ・候補となる小惑星に推進システム(VASMIR)を設置し、太陽/地球L3まで輸送開始 |
3.第三段階:「Metal-Seed」のフィールドテスト
調達した小惑星上で実際の宇宙船建造を想定した「Metal-Seed」のフィールドテストを行います。
テストの準備として、小惑星上に太陽エネルギープラントの設置、作業拠点の設置を行います。
準備が完了すると、「Metal-Seed」を設置し増殖テストを行い、「Metal-Seed」による製造プラントの建設を行いました。
建設された製造プラントは、木星で使用される原子力ラムジェット機の製造に使用されました。
第三段階:フィールドテスト |
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●実施概要 ・小惑星上に太陽エネルギープラント、作業用拠点を設置 ・「Metal-Seed」を小惑星上に設置し増殖テスト(20世代)を実施 ・「Metal-Seed」による製造プラントの建設 |
4.第四段階:恒星間宇宙船プロトタイプの建造
第三段階の実施と並行して、宇宙船建造の資材調達用小惑星の選定を行い太陽/地球L3へ輸送します。
第三段階の小惑星と比較して大型の小惑星を選定する事になるため、輸送には10年近い時間がかかります。
小惑星の太陽/地球L3への輸送が完了すると、準備作業ののちに地球から運ばれた実用型「Metal-Seed」が設置され起動されました。
「Metal-Seed」の増殖が完了すると、製造プラントの建設と宇宙船の建造が行われます。
第四段階:宇宙船の製造 |
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●実施概要 ・宇宙船建造の資材調達用小惑星の選定と、太陽/地球L3への輸送 ・エネルギープラントと作業用拠点の設置、実用型「Metal-Seed」の設置と起動 ・「Metal-Seed」の増殖、「Metal-Seed」による製造プラントの建設、宇宙船の建造 |
【タスクスケジュール】
上記にて説明した第一段階~第四段階までのタスク項目および実施スケジュールをまとめると、以下となります。
タスクスケジュール |
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「Metal-Seed」を使用した、恒星間宇宙船プロトタイプの建造は極秘裏に行われたものですが、
当計画の第三段階で「Metal-Seed」の増殖プロセスが確実に行われることが確認されると、太陽系内での他のプロジェクトでも
「Metal-Seed」が使用されることになりました。
2070年代後半には地球/月L4でのスペースコロニー建設計画に使用され、その後次々に太陽系内の巨大建設計画に使用されるようになりました。