目的と計画概要
軍の強襲揚陸艦建造から派生し、巨大宇宙船を建造し人類を太陽系外に移住させるという当計画ですが、
もともと便乗するような案でスタートしたわけではなく、人類生き残りのひとつの選択肢として長い時間をかけて計画されたものです。
ここでは当初の目的について述べたうえで、計画概要と計画実現に必要な要素、実現に向けて具体化した21世紀半ばからのロードマップについて説明します。
【目的】
20世紀後半から、人類は生存において危機的な状況に直面してきました。
核兵器による全面戦争は現実的でないということで、国家間では暗黙の了解とはなっているものの、依然として国家間交渉の最終手段として核兵器は有用であり、
大国間では核兵器の段階的削減は進めているものの、廃絶するには至りませんでした。
局地戦は依然として続いており、戦争になるまでに至らないまでも国家間/国家内の対立はあり、全世界的な平和などはるか遠くの夢物語。
また、環境汚染問題も、20世紀から21世紀に変わるころにはかなり進展したものの、その後は環境と企業利益とは両立するのかという疑問。
そして間違った考えのもとでの再生可能エネルギーの開発。無秩序が拡大することになりました。
気候が激変していることもあり、抜本的なてこ入れが必要なことを認識しているものの、関係者間での利害もあり前にはなかなか進めない。
破局を回避するための別な選択肢が必要との考えのもとに、当計画が始まりました。
人類は地上では生きていくことが今後困難になることが予想される、とはいえ、人類の一部が生き延びれば最悪の事態は回避できるというものです。
【当初の計画概要】
地球では生きていけないことが予想されるならば、地球外で生き続ける道を模索しよう。
地球外に移住するという考えそのものは、国家/民間含めて様々な計画がありました。
国家の威信というモチベーションのもとに、20世紀後半には機運が盛り上がった事もありましたが、宇宙への進出には国家予算的な莫大な費用が必要であり、
1980年代以降に宇宙への大量輸送手段が模索されたこともありましたが、その後挫折。
21世紀になってからは一部の民間企業でいくつか成功事例できると、技術が蓄積し下地が整いました。
となると、あとはしっかり腰を据えて長期的な計画を立てることになります。当初の計画の時点で、立案者たちの間では一部の生き残りを目標とし、
人類すべてを救うということは諦めました。急ぎたい焦りの気持ちはあるものの、その気持ちは抑えてシビアに構えることになりました。
【計画実現に必要な要素】
21世紀の半ばになると、計画の実現に必要な要素が明確になり実現に向けて動き始めました。
すでにこの時点で月や火星を手始めとして、太陽系内の惑星や衛星への居住は始まっていましたが、その事は単なる途中経過であり、
ゴールはそのはるか先にあるものです。計画実現に必要な要素を列挙すると以下になります。
●推進システム : 燃焼式の推進システムよりもはるかに高効率で大推力の推進システムの開発。原子力や核融合のエネルギーを利用した推進システムの開発。
●制御システム : 推進システムを含め、宇宙船内の各システムを長期間/安定的に制御するためのシステムの開発。
●建造プロセス : 計画に必要となる巨大宇宙船を、短期間かつ高効率で建造するためのプロセスの開発。
●居住環境 : 宇宙船の中の閉鎖的空間で長期間生活することになるため、居住者が健康的に生活できる環境と仕組みの開発。
●資源開発 : 宇宙船の推進システムと、居住者の生活の維持のために必要な資源(エネルギー含めた、衣食住)の確保。
●事前調査 : 居住先の選定のための事前調査。
【実現に向けたロードマップ】
以下の図は、計画実現に必要な上記の要素を、要素ごとの実現時期と各要素間の関連をロードマップ形式に示したものです。
2050年代から計画を始めて、2130年代の終わりには最初の移住を開始する計画となっています。
※下の図はサムネイルです。図をクリックすることでオリジナルの大きさの表が別窓で開きます。