要人輸送用高速艇
要人輸送用高速艇は、政府や企業の要人が惑星間で高速に移動することを想定して建造されたものです。
2070年代後半に小型の核融合炉や核融合推進システムが実用化されたことで、中小型の宇宙船についても核融合炉搭載が進み、
このような宇宙船の建造が可能になりました。
要人輸送用高速艇の全体イメージ図を以下に示します。
形は、中型巡洋艦の核融合炉と推進システムに、居住区画とコクピットを取り付けただけのようなものです。
小型の船体に、巡洋艦クラスの性能の推進システムが搭載されたことで、惑星間の高速での移動ができるようにしました。
全体のイメージ図 |
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要人輸送用高速艇の各コンポーネントについて説明します。
詳細は「要人輸送用高速艇」もあわせて参照してください。
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<指令/旅客/管理区画> ●指令区画 ・コクピット、制御システム ・通信、指令、作戦指揮室 ・船長室 ●旅客区画 ・乗組員用個室 ・乗客用個室 ・救護、医務室 ・娯楽/休憩室、アスレチックルーム ・非常用退避カプセル ●管理区画 ・中央制御室 ・食料倉庫、キッチン ・作業、メンテナンス室 |
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<動力制御/生産区画> ●動力制御 ・電力制御 ・核融合炉制御 ●生産区画 ・水、空気リサイクルシステム ・水耕栽培システム ・廃棄物再利用/微生物培養/食料生産システム <動力/推進モジュール> ●動力モジュール ・核融合炉 ・ラジエーターパネル ・荷電粒子保護用磁気シールド ●推進システム ・酸素/水素貯蔵タンク ・ヘリウム3、重水素貯蔵タンク ・水貯蔵タンク ・核融合推進システム6基 |
2070年代半ば以降に建造された宇宙船には、非常用退避カプセルの装備が義務化されるようになりました。
太陽系深宇宙では宇宙船に事故が発生イコール死ぬことを覚悟することになりますが、太陽系探査での経験により積み重ねられた技術や、
太陽系内での救護活動を可能とするインフラが2070年代以降整備されたことで、ある程度の期間非常用退避カプセルの中で過ごし、
救助を待つということが可能となりました。
以下に、救助用退避カプセルの全体イメージ図を示します。詳細は「非常用退避カプセル」を参照してください。
この退避カプセルは、10人程度の人間が2週間生き延びることを可能とする仕様になっています。
「史上最凶の美女」では、理沙がこのカプセルで木星の周回軌道を漂流した時のことを書いています。理沙はこのカプセルの中で一人で4週間過ごすことになりました。
非常用退避カプセル/全体イメージ図 |
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太陽系内での救護活動を可能とするインフラについて説明します。
以下に救護活動を行うために配備している宇宙船の軌道を示します。中型巡洋艦がその役割を担っています。
中型巡洋艦は、地球と木星の軌道の間に9隻が常時配備されていて、下の図に示す通り、3つの軌道(火星と木星の間、火星と木星の間の傾斜軌道2つ)に各々3隻、
そのほかに2隻が待機しており、非常事態で事故現場に急行した巡洋艦が発生した場合には、その巡洋艦と交代することになっています。
中型巡洋艦の主な任務については、太陽系内での警護および軍事的活動になりますが、
航行する宇宙船に非常事態が発生した場合には現場に急行し、船内の増設居住区画に収容したのち一番近い惑星の居住地に向かいます。
中型巡洋艦の配備軌道(第一軌道/第二軌道/第三軌道) |
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宇宙船で事故が発生した場合の、巡洋艦の対応パターンを以下に示します。
以下は、木星から火星に向かう宇宙船が、途中で事故に発生した際のケースになります。
事故に遭った宇宙船の軌道/移動速度を考慮し、一番最短で到着可能な巡洋艦が現場に急行します。以下の図では第一軌道で待機している巡洋艦が現場に向かいます。
事故発生時の対応ケース |
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