静止軌道宇宙エレベーター
理沙と直子が活躍した時代からかなり後に、地上と地球の静止軌道を結ぶエレベーターが建設されました。
静止軌道宇宙エレベーター「は、宇宙空間に旅客や貨物を輸送するのにロケットを必要としない、ある意味究極の交通手段です。
地上から静止軌道への上昇には電力が使用され、降下の際に地球の重力により発生する電力エネルギーが回収されて別なエレベーターの上昇に使用されるます。
そのため、非常にエネルギー効率の良い交通手段です。
静止軌道宇宙エレベーターのイメージ図を以下に示します。
(図は全体の長さの比率をかなり誇張したものとなっています。実際の全体の長さは70,000kmになります)
| 全体のイメージ図 |
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静止軌道宇宙エレベーターは、エレベーター本体と地上側及び宇宙空間側の構造物で構成されています。
宇宙空間側の構造物は、静止軌道上とさらに上空の2つの構造物で構成されています。
静止軌道上の構造物は、地球の引力と宇宙空間へと飛び出そうとする遠心力がちょうど釣り合う場所にありますが、
静止軌道から地上に伸びるエレベーター軌道の重さを支えるためには、釣り合うための外向きの力が必要になり、静止軌道の外側の構造物はそのために配置されています。
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| <静止軌道宇宙エレベーターの構成> ●地上側拠点(上記図の左側) 地上側でエレベーターの軌道を支えるとともに、エレベーター軌道を引き下げる張力を生み出すためにカウンターウェイトを装備する。 ●静止軌道上拠点(上記図の中央) 宇宙空間上でエレベーター軌道を引き上げる張力を生み出す。エレベーター移動による軌道の揺れ防止のためのカウンターウェイトを装備する。 ●終端側拠点(上記図の右側) 静止軌道上拠点を引き上げる張力を生み出す。外向きの力を調整するためのカウンターウェイトを装備する。 |
静止軌道宇宙エレベーターの各コンポーネントについて説明します。
詳細は「静止軌道宇宙エレベーター」もあわせて参照してください。
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<地上側拠点> ●港湾設備 ・旅客用ターミナル ・貨物用ターミナル ・エレベーター待機線/メンテナンス施設 ●管理用設備 ・中央制御室 ・電力回収/貯蔵システム ・非常用救助システム ・カウンターウェイト |
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<静止軌道上拠点> ●港湾設備 ・旅客用ターミナル ・貨物用ターミナル ・エレベーター待機線/メンテナンス施設 ●旅客設備 ・宿泊設備 ・レジャー設備 ・宇宙船接岸施設 ●管理用設備 ・中央制御室 ・電力回収/貯蔵システム ・非常用救助システム ・カウンターウェイト |
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<終端側拠点> ●港湾設備 ・旅客ターミナル ・貨物ターミナル ・エレベーター待機線/メンテナンス施設 ●旅客設備 ・宿泊設備 ・レジャー設備 ●管理用設備 ・中央制御室 ・電力回収/貯蔵システム ・非常用救助システム ・カウンターウェイト |
軌道エレベーターは、旅客用と貨物用の2種類があります。
大気中での空気抵抗を考慮して、両端が丸みを帯びた形状になっています。
地上から出発して高度100kmまでの大気中では、時速600km程度の速度で上昇(または下降)しますが、大気圏外では一気に速度を上げます。
旅客用のエレベーター内は、旅客船と同等の客席や休憩設備があり、静止軌道上に到着するまでの間不自由する事なく過ごすことができるようになっています。
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| ●旅客用エレベーター(図上) ・全長40m、直径10m、総重量200,000kg/200トン ・最大速度:7,200km(大気圏外)、600km(大気中) ・最大搭乗員数:300人 ●貨物用エレベーター(図下) ・全長50m、直径12m、総重量240,000kg/240トン ・最大速度:9,000km(大気圏外)、600km(大気中) ・最大搭載貨物量:300トン |
静止軌道エレベーターの配置について以下の図にて示します。
最初に建設されたのは下の図のTower1、で地上側の施設は陸上に建設されました。
その後の技術の向上で、Tower2、Tower3は地上側の施設は海上プラットフォーム上に建設されました。
Tower6まで完成したのは26世紀初頭で、その後は6つの塔の設備増強と更改が行われました。
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| <静止軌道エレベーターの配置> ●Tower1 : インドネシア、スマトラ島 ●Tower2 : 太平洋、東経165度海上(海上プラットフォーム) ●Tower3 : 太平洋、西経120度海上(海上プラットフォーム) ●Tower4 : ブラジル北部、パラー州 ●Tower5 : アフリカ、ガボン ●Tower6 : インド洋、東経60度海上(海上プラットフォーム) |
静止軌道エレベーターが完成したのちに、地球の静止衛星軌道をぐるりと取り囲むリング状の構造物の建設が始まりました。
スペースコロニーのように内部はシリンダー状で居住が可能となっており、最大収容人数は72億人。
建設が進み居住が可能となると、各国政府が協調してリング状構造物への移住が進められました。
表向きは、住民を一時的にリング状構造物に引っ越しさせて、地球の自然環境を再生する事業の実施ためであると説明されましたが、
移住は徐々に強制的な事業となり、リング状構造物の中に住民を押し込めて、地上を巨大なリゾートにするという事業にすり替えされていきました。