あらすじ_01_09
エアギター男のそばに理沙が近寄ると、気がついた彼は手を止めて笑顔を見せた。額には汗が光っている。
BGMをかけながら演奏する彼のパフォーマンスには、見かける毎にクオリティが向上しているように見えた。
エアギターの大会に出たらどう?と理沙がなにげなく言ったところ、彼は大会目指して練習を始めたと言っていた。
そしてその後に思いがけないことに、理沙にも一緒にやらないかと誘ってきたのだった。それもギターでなくてヴォーカルとして。
店で時々歌うのを彼も見ていたのだが、才能ありそうだと彼は言った。もちろん理沙にはその気はなく売り上げ向上のキャラの程度に思っていたが。
次の日、若社長は店にやってきた。やがて少し離れた席にエアギター男が会社の同僚と座った。
若社長はかなり酔っているようで、今日は何時にも増して理沙に執拗に絡みついてきた。
ふと理沙の視線がエアギター男の方に向いた時、ほんの一瞬、彼と視線が合ってしまった。そしてすぐに目をそらせた理沙。