あらすじ_02_07
その女性歌手は、ロシアから来た母親と日本人の父親のもとで生まれた。当初3人で普通に生活していたのだが、
父親の仕事の失敗で両親は離婚、母子家庭となったが母親も彼女が15歳の時に病気で死亡。一人になった彼女は夜の街で働くことになった。
理沙が元いた店からそれほど離れていないキャバクラ店で働いていたが、店の状況は酷く、経営者の方針で昼も夜も働かされて客を取らされていた。
ようやく店から逃れたものの、その日の生活費にも困る状態で、再び夜の街で働かざるを得なくなった。
ある日、繁華街のビルの壁面スクリーンに投影された女性歌手を見て、歌手になりたい夢を抱いた彼女は、
狭い自宅のアパートで自作の曲を書き貯めながら、駅前で一人で歌った。通行人はほとんど彼女に足を止めることはなかったが。
そしてある日、新人発掘オーディションを知り、たった一人でエントリーした。これでダメだったら諦めよう。
待合室で理沙とふと目が合った時、彼女は昔見た壁面スクリーンの女性歌手のことを思い出した。