あらすじ_02_13
理沙と待合室で初めて会ったあの日、理沙が強烈なインスピレーションを感じたのと同様に、女性歌手も理沙に対して強烈なものを感じていた。
理沙が審査会場に向かう後姿と、かつて見た街中の巨大スクリーンに映し出された歌手を、思いの中で重ねていたこと。
待合室で理沙の歌う姿を、夢中になって見ていたこと、だからしっかりと自分は歌うことができたと。
別れ際、女性歌手は理沙の手をしっかりと握りしめ、自分をここまで成長させてくれたのは理沙のおかげと涙ながらに言った。
彼女の熱い思いの反面、理沙の方は自分の事のように思えなかった。それほどまでの人間ではないと思っておらず、
帰り道の間も、いったい自分の何に惹かれたのだろうかと思った。自分の方こそあなたに夢中にさせられたのに。
女性歌手のドーム会場でのコンサートの準備が着々と進む。チケットは瞬時に売り切れ。
初の試みとして、超立体プロジェクター映像による、空中へのリアル立体映像投影の実証実験が行われることになっていた。