あらすじ_02_15


ステージも終盤となり、女性歌手は6万人の観衆に向かって最後の曲の前に、最後の曲に込めた自分の思いを伝えた。
昔見上げたビルの壁面スクリーンに映し出された歌手の姿。そのきらびやかな姿を見た日が自分の夢へのスタートラインの日。
苦しいことがあってもその都度その日の事を思い出し、今日この日を迎えた。
そして、自分自身への最大の後押しになった人への想いを込めて、この曲を作った事を説明した。そして静かに曲が始まる。
そのちょうど同じ時刻、理沙はいつものようにライブハウスで歌っていた。観客は100人ほど。しかしコアなファンを着実に増やしていた。
理沙もまた、女性歌手の今日のステージのことを気にしていた。今日の最後の曲の前に、自分がこれから歌う曲に込められた思いを伝えた。
自分自身の才能以前に、もっと大事なものを教えてくれた人のこと、オーディション控室で見た女性歌手の歌う姿。
場所は離れていても、理沙と女性歌手がそれぞれ歌った曲は、お互いに対してのエールだった。



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