あらすじ_03_02


話は14年前に遡る。ロサンゼルスの空港に到着し、数日間観光をしたものの、理沙の本当の目的はこの地で自分の能力を試すこと。
観光気分は終わりにして気持ちを切り替え、不自由でもとにかく安いアパートを探すことにした。慣れない土地での苦労の日々がしばらく続く。
今までのスキルが生かせるような仕事の求人はなきに等しい状態だった。世の中のサービスの自動化、省力化は極度に進んでいて、
誰にでも出来る仕事はいくらでもあるのだが、安い給料で体を酷使するものばかり。消費と観光だけでとどまるのなら天国のような土地だが、
生活のために働くのは単なる苦行でしかない。それでも理沙はようやく交通管制システムの監視オペレータの仕事にありついた。
職場から徒歩で通えるところに安いアパートを借りて、一日3交代のシフト業務をこなす日々が続く。
東京に住んでいた頃とは雲泥の差の生活水準。ただ一ついい事があるとすれば、いろいろなしがらみがリセットされたこと。
窓の外から見えるビルの空調の室外機、その先にある高級住宅地の灯りを眺めながら、まずは明日の事を考える。



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