あらすじ_03_09
マネージャーと夜遅くまで飲んでしまって、しかし女性歌手の最期のことが頭から離れずその夜はほとんど眠れなかった。
職探しと夜のショットバーでの仕事はそれからしばらく続いた。マネージャーからは仕事が見つかったら必ず連絡すると言っていたが、
歌手の仕事に戻るかどうかについては、理沙はマネージャーに対して前向きな返事はできなかった。
1か月後、理沙の元に金融系のシステム会社から採用の連絡があった。センターでの監視オペレーションの仕事だった。
勤務地は東海岸。荷物をまとめて移動の準備をする。シングルマザーの同僚には世話になったが居候の生活もこれで終わりだ。
空港まで見送りにきたシングルマザーの同僚と娘、搭乗口近くで抱き合い、何度も振り返っては2人に手を振る。
飛行機が搭乗ロビーを離れ、滑走路に向かう間、理沙はマネージャーから貰った写真を眺める。
たくさんのスタッフに囲まれ、その中心で女性歌手が満面の笑みでVサインしている。彼女の笑顔はもう思い残すこと何もないというようにも見えた。