あらすじ_03_12


大学教授が書いたシステム工学の資料を、今日も夜遅くまで夢中になって読んでいる理沙。突然に電話が鳴った。
女性歌手の元マネージャーからだった。4か月前の別れ際、仕事が見つかったら必ず紹介すると彼女は言っていたが、
引退したしかも無名の歌手には需要はないだろうと、理沙ははなから諦めていた。彼女のことを忘れかけていたタイミングでの連絡である。
元マネージャーがコンタクトを取っている業界関係の人に理沙のことを紹介したところ、関心を持っているとのこと。
自社のオーディションでの結果次第だが、見込みがあると判断すれば事務所所属の歌手として採用してもいいと彼女は言う。
理沙は彼女に、考えるための時間を欲しいこと。今の仕事を通して自分のやりたい事の方向性が見えてきたことを伝えた。
彼女に対して積極的な返事が出来ないことに、理沙は申し訳ない気持ちになったが、とりあえずそこで電話を切った。
外はもう夜空が白け始めていた。ここ最近1週間以上、平均睡眠時間は3時間を切っている。



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