あらすじ_05_01


探査船「エンデヴァー」が地球に最接近するまであと5時間。会議室は緊張した空気に包まれていた。
理沙は軍からの出向者としてミッションの進捗を見守り、乗組員の反乱が無い様ムード作りをする。しかしそれが乗組員の心境を逆なでした。
今の世の中の状況について説明し、理沙はなによりも全員の一致と協力が必要だと説いた。いつのまにか会議は終わり各自持ち場に戻る。
動力システムが正常であることを作業リストに従いチェックしている理沙のところに、女性観測員が戻ってきた。
何か言いたそうに一人もぞもぞしていたが、ようやく彼女は軍人という職業に抱いている個人的な気持ちを理沙に語った。
直接に批判することがないように努めているように見えたが、言葉のところどころに嫌悪感が感じ取れる。
できるだけ平静さを保とうと、理沙は彼女の話を聞きながらも操作パネルに手を伸ばす。その左腕を女性観測員が掴んで止める。
女性観測員の表情が一瞬凍り付き、掴んだ理沙の腕をゆっくりと離した。そして理沙の瞳を真っすぐに見つめる。



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