あらすじ_05_02
再び話は10年前に遡る。宇宙飛行修士号の二次選考に落選し、理沙は再び仕事に戻り再挑戦に向けて気持ちをいったんリセット。
現場には新しい要員が配属され、若手メンバーが彼らの教育を行い、世代交代が進んでいた。
仕事の仕方には日々目に見えた変化があり、システムは自身が判断できない事例については人間に指示を仰ぐものの、
人間の対応事例ができると、ノウハウとして蓄積され、判断の精度は向上し、人間は単なるシステムのメンテナンス要員でしかなくなる。
理沙が今まで経験した仕事と同様に、このレーダー基地でも人間の活躍の場は徐々に減っていて、若手は他の現場への転属を希望していた。
だからこそ理沙は自分が道を示すべきだと思っていた。宇宙飛行修士号の次の募集まであと半年。合格に向けての作戦を考える。
面談では印象よい会話ができたと思っていたのだが、事業計画についてのアイディアが甘かったのかもしれない。
または自分の事業計画の内容そのものに魅力がなかったのか。思い出してみると、確かに試験官から食らいつくような質問はなかった。