あらすじ_05_10


送別会が終わり、数人の部下と基地の近所のショットバーに飲みに行く。新任の司令官補佐の話題で盛り上がった。
性格では理沙と異なり、非常に大雑把で、ふわふわとして頼りないところがある女性だったが、経歴を最初に見せられた時、
数々の修羅場をくぐり抜けたつわものであり、最後の砦になれる器をもった人物であることを理沙は理解していた。
彼女には婚約者がいて、写真を見せてもらったことはないが、しばらくの間は婚約者の話を飲み会ネタにできそうだった。
とはいえ、彼女に対しての引継ぎは全て完了、理沙はテキサスへ移動することになる。今後は彼女と部下の間で盛り上がってもらう事にした。
翌朝、基地の入り口で昨日の2次会メンバー、新任の司令官補佐と最後の握手を交わした。
レーダー基地での3年近い日々、さらにはさかのぼること7年近く前のアメリカ本土に最初にやって来たとき。すべてが懐かしい思い出だった。
ふと、故郷に帰りたい気持ちが湧いてきたが、消息もわからなくなった親族を想ってどうなることか。理沙はバスの中で寒空を見ながら思った。



あらすじ(5)表紙へ