あらすじ_05_16
事業体が正式に発足し、国内国外に向けて発表された。中核メンバーは事業体発足の会見の際に各自思いを述べ、
理沙も自分なりの思いを述べた。先日の中佐との会話がふと脳裏をよぎる。会見会場には軍の上層部も座っていて理沙を注視していた。
今までは設立準備のためのタスクチームだったが、本格的な事業化に向けたタスクチームとして組織替えが行われた。
理沙は10年計画のテーマとしての、核融合推進システムを搭載した宇宙船の設計タスクチームに加わった。
核融合エネルギーの利用については、ようやく商業用炉のプロトタイプ建設が始まったところだったが、プラズマ制御については技術がかなり蓄積され、
動力用エネルギーとして利用可能な状態になっていた。理沙は核融合技術研究施設を視察し、技術チームと技術的課題について議論した。
可能な限りリモートでの会議を行うように努めたが、協力会社との会合のための出張、会社間の調整で多忙をきわめる毎日。
フランスでは宿泊先のホテルで夜の海を眺める。美しい夜景を見ながら酒を飲んでいるうちに理沙はいつの間にか眠りについていた。