あらすじ_05_19
今日も救急病棟に瀕死の事故者が担ぎ込まれる。その女性の身元はICチップで判明したが、親族と連絡をとる間もなく治療判定が行われる。
患者は別室に移された。異様な服装の男女数人が患者にいくつかの装置を取り付ける。慣れた手つきで淡々と作業が進む。
そして台車に乗せられたまま裏口のワゴン車に乗せられる。警報サインもなく静かに、しかし猛スピードで街を走る。
ワゴン車の中には集中治療室と思えるほどのたくさんの機器があり、体に取り付けられたチューブには血液が流れている。
1時間ほど走るとワゴン車は工場のような大きな建物に入ってゆく。入り口には厳重な警備もなく閑静な住宅街の中に違和感なく存在している。
しかし、ワゴン車が地下の入り口に到着すると、慌ただしくスタッフたちが集まる。患者の呼吸はすでに停止しておりチーフの男は彼らを急がせる。
スタッフたちはその男の指示で患者を全身を沈める程度の大きさの容器に入れ、容器にはすぐに液体が満たされた。
チーフの男は、センサーの表示を見つめる。これでいったい何度目か。しかしいつかは必ず役に立つことだと彼は確信していた。