あらすじ_08_07


中国の探査船の軌道に関する、本部から遂次届くデータで理沙の疑問は深まるばかりだった。方向を考えると木星に向かっているとは思えず、
土星に向かっていると考えるのが推測として正しそうだった。普段は裏どりのために本部と軍の両方から得られるデータで考察をするのだが、
中国の宇宙船とは地球よりも距離的に近い、「エンデヴァー」から直接観測して欲しいと支援輸送中佐から指示があった。
理沙は観測装置の準備にとりかかったばかりなので、2日ほど待ってもらうことにして、船長には木星本体の観測プログラム実行の裏で、
中国の探査船の観測を行うための許可を得た。理沙の12時間シフトの勤務に影響が出る可能性はあったが目をつぶってもらうことにする。
事前に出発前に準備しておいた手順にしたがい観測装置の準備を行う。他の乗組員も割り当てられた作業に忙しいので一人で作業に専念する。
気がついたら24時間以上働いていたがそれほどの眠気を感じることなく、手順の最後まで終えたところで30時間を超えていた。
女性観測員に声をかけられてようやく理沙は手を止めた。一段落ついたので横になったらそのまま12時間寝てしまった。



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