あらすじ_08_10


船長の作業打ち切りに関する説明に対し、さっそく否定的な意見が噴出した。期間短縮の上さらに中途半端な作業中断では探査の意義がない。
そして最初の決では賛成の挙手は船長のほかには理沙だけ。10対2の悲惨な状況の中で、理沙は早速自分の意見を述べた。
軍人としての立場での意見ではあったが、不可能であると思えることにあえて挑戦することに意義があり、何もしないことは敗北でしかない。
自分たちに課せられている国民の期待に応える事が今は最優先だと。そのあと船長も理沙の意見に補足した。
何人かのため息、そしてしばらくの間の沈黙。あきらめ気分に潰されそうになったが船長は再び決をとった。
船長と理沙しか挙手していない。これで終わりにしようかと船長が思ったところで女性観測員が意を決したように挙手する。
場の空気が一変した。船の中では一番重要な立場である動力と推進担当の2人が挙手していることが、他のメンバーを驚かせた。
女性観測員は自分の意見を淡々と述べる。それは単に否定的な意見しか持たない仲間に対する反旗であった。



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