あらすじ_08_14
作業が一段落し、久しぶりで理沙は女性観測員とのんびり話す時間ができた。土星出発の決定会議の際の気持ちの変化を聞いておきたかった。
女性観測員はあっさりと、あなたの気持ちに動かされただけだと答えた。そして理沙に対して仕事のやりがいとは何かと問いかけてきた。
いつでも自分は目の前の任務に集中しているだけだと理沙は答えたが、それだけでは説明できない心の中の熱いものについて彼女に話し続ける。
地下アイドルをやっていた頃に、熱い想いを持った女性歌手と出会ったが、突然の事故により交友があっさりと終わった日の虚しい気持ち。
どれほど崇高な想いを持っていても、人間いつ何があるかわからない。自分も生死をさまよった時があったが、幸いにも今生き続けている。
いつ何時何が起こるかわからない。だから今はただ自分の目の前にあることに集中してベストを尽くしているだけだ。
それだけでいいの、と女性観測員は再び問いかけてきた。もっと大事なことがあるのではないかと。
そこで理沙は先日支援輸送中佐からの言葉を思い出した。もし有事になったとき果たして自分は全員を守り切れるだろうか。