あらすじ_09_05


6か月間の準備が完了し、「エンデヴァー」は再び木星に出発した。理沙は本部の指令室で画面に表示されている軌道グラフを眺め、
隣に座っている実施責任者と船長との通信のやりとりを聞いていた。まもなく「エンデヴァー」が最大推力で飛んでゆくのを見る事ができるはずだ。
前回は船内から地球を眺めながら、女性観測員と緊張した会話をしていた頃だった。軍人から指示されることを乗組員から毛嫌いされ、
サイボーグを嫌悪している女性観測員のトラウマと対峙して、理沙はある意味船内では四面楚歌状態だったことが、
今では懐かしい思い出のように思われた。最大推力までの秒読みが始まり、理沙は再び画面表示に注目した。
船長が理沙を呼ぶ声がした。そして船長は出発前の心境はどんなものだったかと尋ねてきた。
女性観測員との緊張の時間ののち、2人で「エンデヴァー」のコントロール室に戻った時のことを思い起こし、
どんな時でも喧嘩は無駄なこと、逃げる場所がないのだからと船長に言うと、「エンデヴァー」の乗組員皆が爆笑した。



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