あらすじ_09_10
世の中の混乱に乗じた中国の土星領有権主張。その日から半年がたちその間も太陽系開発事業団の内部での議論は続いていた。
拠出金の割合の一番高い米国では、国家財政の削減の対象に真っ先に挙げられたのが木星探査プロジェクトだった。
「エンデヴァー」からは日々有益な情報がもたらされていたが、原子力ラムジェットのテストでは、木星からのヘリウム3採取の事業化について、
概算レベルではあるものの、数十年分の予算を投入しても、見合うだけのリターンが得られないことが判明し、議会内ではその点で紛糾した。
理沙の配下のタスクチームからは、これ以上アイディアを出しても不可能ではないのかとの意見もあり、積極的に前に進むことが難しくなった。
理沙は改めてタスクチームに問題提起をした。予算ありきの開発なのか、技術主導の開発なのか。
画期的な技術に期待した楽観論との意見、不可能と思えても諦めなければブレークスルーは必ずあるという意見でタスクチームは内部対立する。
ちょうど同じ頃、議会では事業団への拠出金削減のための評決が行われようとしていた。「エンデヴァー」での探査は今回で終了の可能性があった。