あらすじ_09_12
その政府の重鎮は、数々の政治闘争を乗り越えた猛者で、バイオ企業やシステム企業を含めた数々の大企業を立ち上げた実業家でもあった。
しかし、すでに齢を重ね自分もこの先長くはないと悟っており、理沙と面と向かうと重鎮は穏やかな表情で今までの政争のことを語り始めた。
使いつくせないほどの富を得たものの、世の中には敵ばかり。この世を去る前になにか世の中に貢献したいとの思いを重鎮は述べた。
重鎮は太陽系開発に強い関心を持っており、理沙と同じく、木星の資源開発は人類の繁栄をこれから何世紀も支える事になると思っており、
木星のヘリウム3開発の事業化のために、技術的課題解決に背後から協力したいと理沙に約束した。
強い後ろ盾を得たような気持になり、理沙は非常に心強かったが、頭の中に常に渦巻いている現実が気持ちを押し戻した。
複雑な心境のまま重鎮の部屋を去り、本部へ戻ると理沙は支援輸送中佐に重鎮と会話した内容を報告した。
この強力な後ろ盾をいかにして有効に活用するか。しかし2人が思案しているなかで再び思いがけない災いがやってきた。