あらすじ_09_16


長い時間をかけて、用意周到に進められた政変だった。中央政府に一斉に反旗を翻した自治区、そして比較的経済的に裕福な沿岸地区。
中央政府に近い地区では、首都部分と地方との対立となり、民衆デモがエスカレートするという前兆を飛び越し、いきなり軍までもが参画した。
メディアは一斉に反体制の側に協力する勢力が強くなり、形勢逆転し一気に不利になった政府系メディアには群衆が殺到。
無政府状態となり実質的に機能しなくなった中央政府は、北京を中心にしたごく小さな領土にまで縮小した。
その後半年間、10の自治共和国と元中央政府に分裂するまで、中国国内の騒乱は続き、核が使用されなかった事は不幸中の幸いだった。
騒乱の中、大量の技術者とグローバル企業は国外に脱出し、そのほとんどが米国に流入した。難民の受け入れ拒否については国際的に非難されたが、
結果として米国内の治安が乱れることは回避され、技術者が新しいビジネスを生み、グローバル企業が雇用と経済成長を生み出した。
社会格差は拡大する一方であったが、かつての経済強国の崩壊は米国の国力増大に寄与した。



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