あらすじ_09_20
理沙が木星探査等で、メンタル女と仕事のつながりが少なくなった間、メンタル女は次世代システムのための研究を地道に続けていた。
それは社会を支える仕組みを作る研究というよりも、人間の神経組織を分析することによる、多要素複雑思考の研究といったほうが合っている。
神経細胞の有機的な興奮状態が、数億もの集合になった時、思考となり、記憶となり、外部刺激を受けて構成された感覚イメージとなる。
制御するためのコードも、ロジックもないのに、全体として何が神経組織の集合体を支配しているのか、わかっているようで実はわかっていない。
巨大システムの事故というものは、巨大システムに何かロジックを与えて支配させることが根本の欠陥ではないのか。
メンタル女の考察はとりとめもなく続く。理沙はひたすら聞くだけで、彼女の底なしの探求心に圧倒された。
しばらくは地下に潜ったような地味な活動になりそうだが、必ずやり遂げるとメンタル女は理沙の手を握り熱く語った。
表に裏に、正反対の道を進むことになった理沙とメンタル女の案件。お互いの成功を祈り、2人は別れた。