あらすじ_14_08
高速艇が破壊されたという事実をまず受け入れる事から始まって、理沙はまず自分の置かれている状況を確認することにした。
最初に船内の備品の確認。空気と水と食料の量と、空調とバッテリーと通信機の状態を調べ、仕様通りに備えられていることを確認できた。
本来は15人乗りの救命ボートなので、1人では十分すぎる量であり、法律で定められた最低限2週間生き延びられる量なので理沙一人では十分すぎる。
生命維持を優先させる必要がなくなったので、連絡を取るために通信機のスイッチを入れた。しかし、どの衛星にもつながらず無意味な雑音ばかり。
窓の外から見える木星と太陽との位置関係から、救命ボートのおおよその軌道はわかった。木星脱出速度に達していないので、
救命ボートに取り付けられた自動発信機が動作していれば、位置情報は作業プラットフォームの管制室で把握できるはずだと
発信機の状態を確認すると、電源すら入らない。どんな過酷な状況でも壊れないはずの発信機がなぜか使い物にならない。
残るは4発常備されている閃光弾のみ。レーダー衛星の監視網で追跡されていることを願いつつ、最後の手段として残すことにした。