あらすじ_14_14
暗闇の中で、理沙はメンタル女の居場所を探った。闇は実態を伴った生き物のようにも感じられ、理沙の体にまとわりついていた。
メンタル女の気配を感じ、理沙が腕を伸ばすと、メンタル女の腕に触れたような気がしてその腕をつかんだ。
彼女のそばに立ち、今でもまだ体にまとわりついている闇の中の実体をとらえようと、もう一方の腕で闇の中をまさぐったところ何かが当たった。
そばにいるメンタル女を奪われないように、理沙は彼女の肩に腕を回して、闇の中にいる何物かと対峙した。
闇の中の何物かは、直接に理沙の心の中に語りかけてきた。人々の心の動きを常に収集し、時には願いを叶え、時には悪の芽を探し出す。
全体のあるべき方向を見極めて、最適化し、問題がある個所については調整する。人間とは比べ物にならない速さで対応することが可能で、
これこそが世の中を管理するシステムの究極の姿だと、何者かは理沙に語りかける。しかし理沙は早速反論した。
本当にそのあるべき方向とは正しいものなのか、ただ単に大量のデータを分析して物理的に最適な解を求めているだけなのではと。