あらすじ_19_11
理沙のやり方は行き過ぎだという言葉が会議で出るようになった。理沙が思っている程に現場に強い想いを持って働いている人間は多くなかった。
高い給料につられて手を挙げた労働者は、ほとんどが地球上では恵まれない生活環境の出身。契約期間が終われば地球に帰り大金を元に優雅に暮らす。
木星での生活も地球からの物資の輸送が途絶えれば悲劇的な生活になるだけ、地球政府の言うことを聞いて穏便に暮らす事のどこが悪いのか。
太陽系内では地球外に4つの惑星または衛星上での生活拠点があるが、土地に根付いた生活文化が確立した拠点はまだなく、
地球が存在することに対しての甘えのようなものがあった。その点、理沙自身にも3年間の契約期間という気持ちの甘えがある点では同じこと。
会議の場では行政官が最後にかばってくれ紛糾するまでには至らなかったが、その日の会議は雰囲気の悪い状態で終わることになった。
現場の省力化には反対しても、現場の環境改善と地球から自立することについてはまだ懐疑的な人がまだ多い。
気持ちの上でも地球から自立して、本当の意味で地球外を生活拠点とする人間はいつになったら登場するのか、そんな矢先にアクシデントは起きた。