あらすじ_19_14
今まで何度も検討項目に挙げられていた、現場要員の削減案が、今回の事故を契機として急に現実的なものになってきた。
人間の判断を極力除外した、システムに全面的に頼った作業の効率化。長官から現場の技術力の底上げのために派遣された理沙だったが、
今回の事故は派遣理由にも疑問を投げかけるものとなった。早速少人数化前提での改善プランの作成を行政官は求められることになり、
プラン提出後、行政官に対しての処分が決まることになっていた。理沙は改善プランの作成を手伝いながら、再び木星開発初期段階の話をした。
物事には技術的ブレークスルーと、安定化の2つの時期があり、各々の時期にリーダーは異なる資質をもって現場をリードする必要があり、
今の安定化の時期に必要な資質は、マンネリ化を防ぐことだと理沙は思っていた。システムが巨大になり全体に目が届かなくなるほど慎重になるべきで
と、理沙がそこまで言いかけたところで、行政官は自分のことを責めた。理沙は責めるつもりはなく単に事実を述べただけだったが、
行政官の気持ちの中で何かが切れてしまったようだった。行政官にはやり直しのチャンスが必要だと理沙は思った。