あらすじ_19_16


現場のてこ入れだけで話は終わらなかった。醜い利権争いが地球上で続き、太陽系開発事業の企業企業連合は、参加各国の経済停滞から
拠出した金額に対して各国への分配が不公平な事に対して不満が噴出していた。最大の拠出国の米国からは民間企業への移管を進めて
事業団からは脱退したいとの表明もあり、決定の場は国連の場に持ち出されることになった。その国連も一部の国による寡占の場でしかなかったが。
総会では木星の開発事業を国連直轄事業とする案が出された。提案したのは崩壊後に多数の小国に分裂した中国連合。
やがて、インド、東南アジア諸国、中東が加わり、アフリカの資源国までが加担し、東洋対西洋の構図になると常任理事国は拒否権を発動した。
提案潰しの中核である米国は、国連に対する影響力を盾に拠出金の停止。同じ頃、木星からの核融合燃料の輸送事業の民間参入を決定した。
さて、どうするか。理沙は当直の時間中、中央制御室で腕組みをしながら一人静かに考えていた。現場の苦労とは全く無関係な場所で
勝手に騒いでいるようにしか思えなかった。利権と覇権争いの背後で、もっと大きな危機が迫っているという認識がないように見えた。



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